TOPヘ
 

 


夢の劇場

通称・シアターオブドリームス。
「夢の劇場」と称されるこの美しいスタジアムはイギリス中部の都市、マンチェスターにある。このマンチェスターを本拠とするのが、労働者階級に支持される、「マンチェスター・シティー」と上流階級の象徴とも言える「マンチェスター・ユナイテッド」の2クラブだ。

イギリスの地図上の首都はロンドンだが、ことサッカーに関しては長きにわたりマンチェスターが首都として君臨してきた。中でも1990年代、シティーは下部リーグに降格するなどの低迷を続けたのに対して、ユナイテッドはプレミアリーグ4連覇を果たすなど、黄金時代を迎えた。それを支えたのが他でもない、トラフォードの熱いサポーター達だ。

6万8千人収容可能なこのスタジアムは、他のイングランドのスタジアムがほとんどそうであるように、ピッチと客席の距離が非常に近い。一番近いところで6メートルほど。しかし、ユナイテッドのスタジアムがすごいのはピッチ上だけではない。世界屈指の規模であるオフィシャルショップが併設されており、試合前にユニホームやグッズを購入して観戦などということも十分に可能になる。

さらにレストランやショッピングモールなどもあり、これらは試合のない日も通常通りに営業されており、連日客足が絶えることはない。あまり知られていないが、マンチェスター・ユナイテッドはかのレアル・マドリーに抜かれるまでは、世界一もうかっているサッカークラブだったのだ。スタジアムは毎試合満席。さらにショップの売り上げも好調、となればそれも当然と言える。

この好調を受けて、スタジアムは増席の計画が進んでいる。安定した入場料収入と、心強いサポーター達がこのクラブをどんどん強くしていく。プレミアリーグの他のクラブの選手は口を揃えてこう言う。

「オールド・トラフォードでは試合をしたくない。」と。

しかし、そんなユナイテッドの選手たちが忘れられない出来事がある。2003年の欧州チャンピオンズリーグ決勝。この決勝戦はユナイテッドのホーム、オールド・トラフォードで開催される予定だった。

「ホームスタジアムで開催される決勝で試合をしたい。」
おおいなる野望を持ってこの年ユナイテッドは快進撃を続けていた。

しかし、準々決勝。
強豪レアル・マドリーの前に彼らは検討むなしくも敗れ去ってしまった。
地元スタジアムで、そして愛するサポーター達の前で優秀の美を浴びることは夢と消えた。再び決勝がホームで開催されるのはいつのことか……。

しかし、彼らは世界一のサポーターのため、今日も戦い続ける。


copyright 2006 © スタジアムの軌跡.com