鮮やかな記憶ばかりがスタジアムにあるわけではない。
決して忘れ去ってはいけない、悲しい記憶もスタジアムにはある。1985年のチャンピオンズリーグ決勝戦。
イングランドのクラブ「リバプール」対イタリアのクラブ「ユベントス」の試合開始前に悲劇は起きた。
今でこそ少なくなったが、当時のイングランドには「フーリガン」と呼ばれる、酒を飲んで暴れることを目的にスタジアムに足を運ぶ者がいた。2002年の日韓ワールドカップでも、この「フーリガン」の心配がされていた。フーリガンの怖いところは、一般サポーターをも巻き込むことだ。それまで普通のサポーターが、フーリガンに触発されてその一般サポーターもフーリガン化する危険があるため、あのような厳重警備がとられていた。まぁ結局は何もおこらなかったのでよかったが、席空いてたならチケット売ってくれよ!!(まだ根にもってます)。
両国の中立であるベルギー・ヘイゼルスタジアムで行われたこのゲーム。そんな荒くれ者たちとユベントスのファンを仕切るのは金網ひとつという状態だった。こんな状態で何もおこらないわけがなかった。そして試合前、興奮を抑えきれなくなったファンたちが金網によじのぼる。金網は重さであっという間に倒れ、ある者は圧死、またある者は暴力をふるという大混乱に陥った。
死者39名、負傷者も多数出したこの大惨事は「ヘイゼルの悲劇」と呼ばれ、これ以降スタジアムは厳重な警備が敷かれるようになる。また、制裁としてイングランド勢はむこう5年間、ヨーロッパの大会への出場停止を命じられた。この事件は決してイングランドの人達の記憶から消し去られることはなく、今も胸の奥底に刻みつけられている。
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