今年はドイツで06年ワールドカップが開催される。
そこでドイツのスタジアムにもスポットを当ててみたい。まずはドイツの盟主、バイエルンミュンヘンのホームスタジアムでもある、「アリアンツ・アレナ」からだ。
元々バイエルン・ミュンヘンのスタジアムは「オリンピア・シュタディオン(ドイツ語で五輪競技場という意味)」というものだったのだが、ここは元々1972年のミュンヘンオリンピックのメイン会場であった。それをミュンヘンに本拠地を置くバイエルンと、1860ミュンヘン(※バイエルンのライバルクラブだが、実力差は月とスッポン。現在下部リーグに所属している。)が共同で使用するようになっていた。
だが近年は老朽化が進んでおり、また、陸上用トラックがあるため、ピッチと客席の距離が遠く、サッカースタジアムとして十分な機能を果たしているとは言えなかった。
さらに06年ワールドカップも間近に迫り、ミュンヘン市の意地とプライドにかけても「新スタジアム建設」という機運は高まっていた。こうして05年からバイエルンと1860ミュンヘンはその本拠をアリアンツ・アレナに移すのである。出来て間もないこのスタジアム、最大の特徴は繭のような形と、夜にはまた別の顔をのぞかせるということだ。
スタジアム外観がバイエルンの試合ではチームカラーの赤に、1860ミュンヘンの試合では青に、ドイツ代表のゲームでは白にライトアップされる。私は一度上空から撮影された映像をみたことがあるのだが、非常にキレイでおもわずため息が出た。近辺ではスタジアムに見とれるドライバーが交通事故を多発させているというが、それも仕方のないところ。うなずける気がする。
私がアリアンツ・アレナの魅力を感じる一番のところは、何と言っても場内アナウンスだ。サッカーの世界で、得点シーンのあとに得点者の名前をアナウンスするのは常識だが、このアリアンツ・アレナをはじめ、私の知る限りではドイツ、そしてフランスとトルコの一部のスタジアムでは得点者の名前をアナウンサーがファーストネームだけコールする。
そして、観客が大声でラストネームを叫ぶのだ。例えばバイエルンのエースであるロイ・マカーイ。
アナウンサーが「ロ〜イ」とコールすると、
観客がいっせいに「マカ〜イ〜!!」と叫ぶ。しかもこれは3回続けられる。スタジアムのボルテージは最高潮になり、選手たちを大きく勇気づける。得点者は自分の名前が6万6千人にコールされるのだ。まさに選手冥利に尽きるといったところだ。ドイツのサポーターたちはこうやった選手と一緒に戦っているのだ。このスタジアムの「一体感」は日本のサポーターにも是非見習ってもらいたいものだ。
なお、バイエルンに所属するゴールキーパー、オリバー・カーンによると、ここのフランクフルトは世界一うまいそうだ。
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